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2010年10月2日 11年前、ダイエーホークスが初優勝したとき、王監督は「連覇はこの何倍も難しいのだ」と言って、翌年、連覇を果たしました。 ・・・・・この意味のない前ふりは何とない私の気持ちです。上野朱さんの「蕨の家」(海鳥社)が出版されたときは本当に嬉しかったけれど、今回2作目の「父を焼く」(岩波書店)が出て、その何倍も嬉しいと言いたいのです。 人は皆何かを背負って生きているけれど、それをちょっと楽にしてくれるエッセイです。一番重いものを背負っているのは著者の朱さんでしょう。偉大な父を持つ息子、それも一人息子であれば、生まれながらに大変なものを背負わされています。ただのバカ息子なら苦にもならないでしょうが、その荷を丸ごと残さず背負いきる朱さんを知る人はだれも、今回の2作目をどんなに喜んだことかと思います。 その重みゆえに、彼はいままで自分の才能と技量に自ら封印していたのだと、この本を読んで私は確信しました。 ちなみに、表題作「父を焼く」の最後、「知人の陶芸家がこの日のために焼いてくれた大きな壷」は、上野英信を敬愛する筑豊の若い陶芸家が泣きながら焼いた骨壷でした。
by dai_hirao
| 2010-10-02 18:32
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